不動産

府中市で相続した不動産の活用法と最適な選択肢【2025年最新版】

目次

府中市は東京都内でもバランスの取れた住環境と利便性の高さを誇り、ファミリー層を中心に安定した住宅需要があります。一方で、相続などにより不動産を所有したものの、どのように活用すればよいか悩むオーナー様も多いのではないでしょうか。

本記事では、府中市の不動産市場や子育て環境の魅力を踏まえながら、相続した不動産の最適な活用方法を解説します。不動産を売却すべきか、それとも賃貸に出すべきか、または別の活用方法があるのか。それぞれのメリット・デメリットを整理し、最適な判断ができるよう、自分自身も府中市に物件を保有する楽府株式会社の宅地建物取引士が解説します。

なお、他の市で不動産の売却を検討する際には、下記の記事も参考になります。

府中市の不動産市場動向(2024年~2025年)

(1)住宅売買市場の現状

 府中市における住宅価格は、2024年時点で全体的に頭打ちの傾向が見られます。地元不動産業者の見立てでは、「今年は全体的には価格が横ばい、または下落で推移する」とされ、価格上昇が期待できるのは駅近や商業施設が充実した一部の利便性が高い立地に限られるとのことです​実際、府中市内の中古マンション価格を長期で見ると下落傾向で、過去10年で価格が上昇した地域は皆無でした(調査対象の駅で10年前より価格上昇ゼロ)​。ただし近年の全国的な地価上昇トレンドに伴い、府中市の土地価格もわずかながら上昇しています。2024年の基準地価によれば、府中市の住宅地価格は平均で約6%上昇しています。これは駅周辺の人気地区など局所的な需要増を反映したものといえるでしょう。

賃貸市場の動向: 府中市を含む東京圏の賃貸住宅市場は堅調で、空室率は低水準、賃料は上昇基調にあります。2024年時点で東京都下(23区外)の賃貸マンション平均募集家賃は前年同月を上回っており、首都圏全体で賃料は2015年以降の最高値水準に達しています​【出典athome-inc.jp】。府中市も例外ではなく、例えば単身者向け(1R~1LDK)の平均家賃は約6.0万円と東京23区内より割安ながら需要が高く​家賃相場は上昇傾向です。このため府中市の物件を賃貸に出した場合、比較的安定した入居需要が見込め、賃料利回り(投資収益率)の点でも都心より高めになる傾向があります​。​以上により、府中市の賃貸市場は堅調であり、賃貸収益を得やすい環境にあるといって過言ではないと判断できます。

(2)再開発計画やインフラ整備の影響

 府中駅は特急を含むすべての京王線電車が停車し、駅ビル「ル・シーニュ」や複合商業ビル「フォーリス(旧伊勢丹)」「くるる」などに直結しているため、周辺の生活利便性が非常に高くなっています。また近年の再開発によって駅周辺は大きく様変わりし、商業環境の充実が不動産価値を下支えしています。府中市内では今後もいくつかの大型開発プロジェクトやインフラ整備が予定されており、不動産市場への好影響が期待されます。例えば、西武多摩川線「多磨」駅近接地では大規模商業施設の開発計画(府中市朝日町プロジェクト)が進行中で、延床約11.7万㎡に及ぶ商業・エンタメ複合施設が2029年春の開業予定です​。

 こうした新規商業施設の開業やインフラ投資は周辺エリアの利便性向上と雇用創出につながり、不動産の賃貸需要や資産価値にもプラスに働く可能性があります。また、既に完了した府中駅周辺の再開発(駅ビル・ペデストリアンデッキ整備など)は市内中心部の魅力を高め、「住みたい街」としての評価向上に寄与しています。道路網や公共施設の整備も含め、府中市の都市基盤強化は中長期的に不動産価値の底上げ要因となるでしょう。

ライフプランの観点から見る売却・賃貸の判断基準

 さて、そんな府中市に不動産を所有している、あるいは相続で不動産を所有することになった場合、どのように利活用するのが最も有効でしょうか。ここではそのヒントを共有できればと思います。

(1)将来自身や家族が住む可能性を考える:

 まず、現在所有する府中市の不動産に将来自分や家族が住む予定があるかを考えることが重要です。仮に「いずれ自分(あるいは子供世代)が戻って住むかもしれない」「マイホームとして確保しておきたい」という可能性があるなら、無理に売却せず住宅資産を手元に残すメリットは大きいです。住宅を持ち続ければ将来の住居確保につながり、賃貸では得られない安心感があります。一方、「もう住むことはない」と明確な場合は売却も選択肢に入ります​。売却すれば毎年の維持費・固定資産税等の固定コスト負担が無くなり、さらにまとまった資金を得て他の資金計画に充てることができるからです。

したがって将来利用しない不動産を抱え続けることはコスト面で不利になり得るため、ライフプラン上使う見込みがないかどうかをまず検討しましょう。

(2)長期的な資産価値と市場動向

 不動産を資産として長期保有する価値がどの程度見込めるかも判断基準です。前述の通り、府中市の不動産市場はここ10年で見ると緩やかな下落傾向にあり、特段の上昇要因がないエリアでは今後も大幅な値上がりは期待しにくいと考えられます​。

 例えば中古マンション価格は10年前より1~2割程度下がった地点が多く、持ち続ければ必ずしも資産価値が向上するとは限りません。しかし一方で、府中市内でも駅周辺など資産価値の安定しやすい立地は存在します。再開発などで今後利便性が上がるエリアの物件や、希少性の高い土地であれば、時間とともに相対的な価値が維持・向上する可能性もあります。つまり、物件の立地条件と将来性を見極め、長期で持ったほうが有利かどうか判断することが大切です。仮に資産価値の下落リスクが高いと判断した場合、早めに売却して現金化し他の資産に振り替えるのも一策でしょう。一方、賃貸に出した場合は家賃収入を得ながら市場環境の好転を待てるため、資産価値が大きく目減りしない限り**「収益物件」として保有し続ける戦略**も考えられます。

(3)相続税・固定資産税など税金の影響

 不動産を所有し続ける場合、税負担についても計画的に考慮する必要があります。まず毎年課される固定資産税(および都市計画税)は、住宅や土地を持ち続ける以上避けられないコストです。特に居住せず空き家の状態が続くと、住宅用地特例(200㎡以下の住宅用地は固定資産税評価額1/6)の適用外となるリスクがあり、税額が跳ね上がる可能性もあります。したがって、利用しない不動産を遊ばせておくことは税負担の面でもデメリットが大きいわけです。また、将来的に相続の局面では不動産の扱いが大きなポイントになります。不動産は現金と違い分割・処分が難しく、相続人にとって扱いに困るケースも少なくありません。しかし、不動産を賃貸運用している場合には税法上の優遇もあります。たとえば賃貸中の住宅(貸家)は相続税評価額の算出時に約30%の評価減が認められており、建物評価額が実質的に半分程度になると言われています​。

 なぜ賃貸に出すことで税法上の優遇が認められるのでしょうか。それは賃借人の権利がある分、所有者が自由にできないことを考慮した減額措置だからです。つまり賃貸物件として持っていることで相続税額を抑える効果が期待できるのです。一方で、自用の住宅でも被相続人が居住していた場合には小規模宅地等の特例により一定面積までの土地評価額が80%減額される制度もあります(適用要件を満たせばマンションでも使えます)。

 結局、家族がその不動産を相続後どうするか(居住するのか売却するのか)によって適用される税優遇策が異なります。相続人が実際に住む予定があるなら保有を続けることで大幅な節税が可能ですが、誰も使わない不動産を相続させると高額の相続税負担だけが残る恐れもあります。ライフプラン上、自身の相続対策や税負担も視野に入れ、不動産を持ち続けるメリット・デメリットを比較検討しましょう。

(4)賃貸運用による収益化のメリット・デメリット

 所有物件を売らずに賃貸に出す道を選ぶ場合、その収益性とリスクも把握しておく必要があります。以下に賃貸運用の主なメリットとデメリットを整理します。

  • メリット:
    • 安定した家賃収入: 賃貸に出せば毎月の家賃という形で継続的な収入を得られます​。ローン返済中であれば家賃収入で補填でき、完済後であれば老後の生活資金や次の投資資金として活用できます。
    • 資産を保持しながら活用: 売却とは異なり不動産という実物資産を手放さずに済むため、将来的に再度自分で利用する選択肢も残せます。市場が好転して物件価値が上がれば、その利益を享受できる可能性もあります。
    • 税務上の優遇: 前述したように賃貸物件は相続税評価額の減額(貸家評価減)があり、相続対策として有利です​。また、賃貸経営に伴う減価償却費や経費計上によって所得税・住民税の圧縮効果が得られるケースもあります(収支によりますが、節税面のメリット)。
  • デメリット:
    • 空室リスク・管理負担: 賃貸には空室リスクがつきものです。借り手が付かなければ収入ゼロどころか維持費だけ負担する状況にもなり得ます。また入居者募集や物件管理(クレーム対応、修繕等)には手間がかかり、不動産会社への管理委託料も発生します。オーナーとしての管理責任とコストを負担できるか検討が必要です。
    • 定期的な税務申告: 賃貸収入がある場合、毎年確定申告を行い不動産所得として申告する必要があります​。経験がある方も多いと思いますが、経理や帳簿管理の手間が増える点は、サラリーマンなど本業がある方にはわりと手間です。売却の場合は基本的に売却年度のみ申告すれば済むため、賃貸継続中は毎年の税務手続きがデメリットになります。
    • 将来的な売却制約: 賃貸に出すデメリットの一つに、将来売却しにくくなる点があります​。入居者がいる状態(オーナーチェンジ物件)で売却する場合、購入希望者は投資家に限られ実需層に売れません。そのため一般の空き物件より5%以上安い価格でないと買い手が付かないケースも多く、売却活動が長期化する傾向があります​。賃借人に退去してもらおうとしても借地借家法で保護されているため容易ではありません。つまり、一度賃貸に出すと自由に処分しづらくなるリスクがあります。
    • 物件の劣化・維持費: 入居者が使用することで建物や設備は徐々に消耗し、原状回復や修繕費用が発生します。とくに長期間にわたって賃貸運用する場合、設備更新や大規模修繕など維持管理コストも計画しておく必要があります。適切にメンテナンスしないと資産価値が下がる恐れもあり、収益の一部を将来の維持費に充当する心構えが求められます。

以上のように、賃貸運用には収益を得ながら資産を保持できる魅力がある一方で、空室・管理・売却の制約などのリスクも存在します。自身のライフスタイルやリスク許容度に照らして、メリットがデメリットを上回るかを慎重に判断すべきです。

売却か賃貸かを決める際の指針

 最後に、府中市の不動産所有者が売却するか賃貸に出すかを判断する際の総合的な指針をまとめます。まず、市場動向を踏まえると、府中市の不動産価格はピークアウト感があるものの駅周辺では需要が根強く、賃貸ニーズも高い状況です。したがって**「売り時」を逃さず利益確定すべきか、それとも資産として活用すべきか**は、ご自身の状況次第で変わります。

  • 将来利用予定があるなら保有: 自分や家族が将来住む可能性が少しでもあるなら、無理に手放さず賃貸に出しつつキープする戦略が有効です。賃貸収入で維持費や税金を賄いながら、自宅としての選択肢を温存できます。特に府中市は生活環境が整ったエリアですから、将来的に戻るメリットは大きいでしょう。
  • 資産活用と収益重視なら賃貸: 不動産を長期の資産と捉え、インカムゲイン(収入)を得たい場合は賃貸運用が適しています。府中市の安定した賃貸需要により毎月の現金収入が期待でき、低金利環境下では運用益も魅力です。老後の年金代わりにするなど、ライフプランに沿った収益活用ができます。ただし前述のようなリスク管理(空室対策・維持管理)を怠らないことが前提です。
  • ローン返済や資金需要があるなら売却: 反対に、住宅ローンの残債精算や他の資金ニーズがある場合は売却による即時現金化が有力です。売却すればまとまった資金を得てローンを完済できますし、新たな住まい購入資金や事業資金に充てることもできます。特に、今後物件価値の下落リスクが懸念されるなら、価格が大きく崩れる前に売ってしまう方がトータルで得策となりえます。
  • 税負担や相続を見据えて判断: 固定資産税等のランニングコストや将来の相続税を総合的に考える視点も欠かせません。長期間誰も住まないまま所有すると税負担ばかりかさむので、その場合は賃貸に出すか売却かいずれかに踏み切る方が良いでしょう。相続人が物件を必要としない場合、親の代で処分(売却)しておき現金等で遺す方が、相続後に不動産を処分する手間・税負担を減らせるケースもあります​。逆に相続人が住む意思があるなら持ち続けて特例適用を狙うなど、家族の将来計画とも照らし合わせて判断します。判断には下記記事も参考になります。

まとめ

 ここまで府中市の不動産を取り巻く事情について解説してきました。府中市の不動産を売却すべきか賃貸すべきかの答えは一律ではなく、市場動向+ライフプラン+経済状況を踏まえた総合判断が必要です。府中市の市場は安定しており賃貸利回りも見込めるため、「使い道がなく収益も不要」な場合以外は慌てて売る必要はありません。ただ一方で、不安要素(将来の需要減や建物老朽化など)が大きい場合は早期売却でリスクヘッジするのも賢明です。今回整理した市場の最新動向とライフプラン上のポイントを参考に、ご自身にとって最適な選択肢を見極めていただくと良いでしょう。必要であれば不動産の専門家に相談しつつ、後悔のない判断を下すことが大切です。

 楽府株式会社は府中市の不動産について下記のようなサポートができます。

  • 無料査定サービス: 売却や賃貸に出す際の価格を正確に把握できるようサポート
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また、査定についての流れと注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。

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manabito

楽府株式会社 代表取締役/ 宅地建物取引士 / 不動産と文化の融合を目指す不動産会社「楽府株式会社」代表取締役。 宅建士。その他合格・取得資格は行政書士(未登録)/応用情報技術者/第二種電気工事士など。 不動産売却や相続不動産の相談を専門。特に、八王子市・日野市・府中市など多摩地域の不動産売却に精通し、売却成功事例や査定のポイントを分かりやすく解説することが得意。 相続セミナー講師(日野市後援、国分寺市後援、多摩市後援、厚木市後援の相続セミナー実績あり) ブログを通じて、不動産の悩みを抱える皆様に「賢い売却の選択肢」を提供できるよう努めています。

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