不動産

貸倉庫・貸店舗の固定資産税が高すぎる!相続オーナーができる節税対策【2025年最新版】

 親御様から受け継いだ大切な倉庫や店舗。しかし、想像以上に高い固定資産税の請求書を見て、途方に暮れていませんか?空き物件の維持費が重くのしかかり、「このまま保有し続けるべきか」「売却も考えるべきか」「何か活用方法はないか」と悩む日々を送られているかもしれません。特に日野市や八王子市で事業用不動産を相続されたオーナー様、決して一人で悩まないでください。本記事では、八王子市に事業用物件を複数管理する楽府株式会社の宅地建物取引士が、固定資産税が高くなる理由から、具体的な節税対策、そして地域の補助金情報まで、あなたの疑問と不安を解消する情報をお届けします。

目次

なぜ倉庫・店舗の固定資産税は高いのか(評価額・住宅との違い)

 固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に課される税金であり、住宅地、事業用地に関わらず課税されます。この税金は、不動産や土地を保有している期間に対して課され、地方自治体が徴収し、地域の公共サービスやインフラの維持などに充てられます。固定資産税の額は、土地の評価額と建物の評価額に基づいて計算されます。

 事業用不動産である倉庫や店舗の固定資産税が住宅と比較して高くなる主な理由の一つに、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置が挙げられます。住宅用地には、その面積に応じて課税標準額が軽減される特例があり、例えば200平方メートル以下の小規模住宅用地の場合、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1に軽減されます。また、200平方メートルを超える一般住宅用地の場合でも、200平方メートルまでの部分は小規模住宅用地として6分の1に軽減され、200平方メートルを超える部分については3分の1に軽減されます。しかし、事業用不動産である倉庫や店舗は、これらの住宅用地特例の適用を受けることができません。事業用地は敷地面積が広い場合が多いため、小規模住宅用地の特例の対象外となることが一般的です。ただし、店舗兼住宅のような場合、住宅部分の床面積が全体の2分の1以上であれば、住宅の軽減措置を受けられる可能性があります。

 さらに、事業用不動産には住宅には課税されない特有の税金が存在します。それが償却資産税です。償却資産とは、事業のために使用する機械、設備、備品などのことで、これらの資産の評価額の合計が150万円以上になると、固定資産税として課税されます。たとえ未使用の資産であっても、使用できる状態で所有しているだけで課税対象となる点に注意が必要です。具体的には、倉庫や店舗の内装、厨房設備、事務機器などが償却資産に該当します 。

 また、都市計画税も固定資産税と合わせて課税される場合があり、都市計画区域内の土地や建物が対象となります。都市計画税の税率は自治体によって異なりますが、上限は0.3%とされています。日野市の場合、都市計画税の税率は0.27%であり、八王子市では0.27%です。

 固定資産税評価額は、土地と建物それぞれに異なる方法で算出されます。土地の評価額は、公示価格の7割を目安に、路線価方式や倍率方式によって計算されます 。一方、建物の評価額は、同じ建物を新たに建築した場合にかかる費用(再建築価格)を基準とし、そこから経過年数による価値の減少(経年減点補正率)を考慮して算出されます。この評価額は原則として3年に一度見直される仕組みとなっています。

 固定資産税の税率は、標準税率として1.4%が定められていますが、自治体によっては異なる場合があります 。日野市八王子市の固定資産税率はともに1.40%です。

 所有している土地が更地の場合、住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税は高くなります 。駐車場として活用している場合でも、更地とみなされて優遇措置を受けられないことがあるため注意が必要です。建物を建てて活用することが、固定資産税を抑える有効な手段となります 。

 税負担の急激な増加を抑えるための負担調整措置が、事業用地にも適用される場合があります。この措置は、土地の負担水準に応じて税額を調整するもので、日野市にも同様の仕組みが存在します。

 また、市町村によっては、課税標準額が一定額以下の場合、固定資産税が課税されない免税点が設けられています。八王子市にも課税標準額の合計額に応じた免税措置があり、日野市にも土地、家屋、償却資産それぞれに基準額が設定されています。

 店舗兼住宅の場合、店舗部分と住宅部分で課税が分かれ、自宅部分の床面積を増やすことで住宅用の軽減措置の対象となる可能性があります。具体的には、自宅部分の床面積が2分の1以上であれば、自宅部分の固定資産税が半額に軽減できる場合があります。

 相続した自宅を事務所や店舗などの事業用として賃貸した場合、土地に対する固定資産税・都市計画税が上がる可能性があることに留意する必要があります。また、事業用賃貸の賃料収入には消費税がかかるようになります

固定資産税が経営を圧迫するリスク

 相続によって取得した貸倉庫や貸店舗にかかる高額な固定資産税は、オーナーの経営にとって様々なリスクをもたらします。まず、固定資産税の支払いは、賃料収入などのキャッシュフローを圧迫し、日々の経営を不安定にする可能性があります。特に空き物件の状態が続くと、収入がないにも関わらず税負担だけが発生するため、資金繰りが悪化する要因となります。

 また、固定資産税の負担が大きいと、物件全体の収益性が低下し、不動産投資としての魅力が薄れてしまうことがあります。これは、将来的な売却を検討する際にも不利に働く可能性があります。

 空き物件を保有している場合、維持管理にかかる費用に加えて固定資産税の負担が重くのしかかり、オーナーにとって大きな経済的負担となります。高額な固定資産税は、空き物件リスクをさらに増大させる要因と言えるでしょう。

 特に中小規模のオーナーの場合、固定資産税の支払いが困難になり、事業の継続を断念せざるを得なくなるリスクも考えられます。これは、個人の生活設計にも大きな影響を与えかねません。

 あまりにも固定資産税の負担が大きい場合、相続放棄という選択肢も頭をよぎるかもしれません。しかし、これは最終手段であり、他の活用方法や節税策を検討することが重要です。大切な資産を手放す前に、できる限りの対策を講じるべきでしょう。

 さらに、今後、物件の修繕や改築などを検討する際にも、固定資産税の負担が判断を左右する可能性があります。高額な税負担は、必要な投資を躊躇させ、結果的に物件の価値を損なうことにも繋がりかねません。

相続オーナーが取れる節税対策

 相続した貸倉庫や貸店舗の固定資産税負担を軽減するためには、いくつかの対策を検討することができます。

 まず、第一に建物の定期的なメンテナンスが重要です。適切なメンテナンスを行うことで、建物の劣化を抑え、評価額の急激な上昇を防ぐ可能性があります。つまり「放置してません」ということが大切なのです。

 次に、法人化を検討することも節税対策の一つとして挙げられます。法人化には、所得税・相続税の節税効果が期待できる場合があり、経費として認められる範囲が広がる可能性もあります。また、損失を繰り越せる期間が長くなるというメリットもあります。所得の分散によって節税を図ることも可能です。しかし、法人化には会社設立・維持費用がかかる、赤字でも法人住民税が発生する、不動産を売却した場合の税率が高い場合がある、不動産取得税や登記費用がかかる、社会保険への加入義務が発生するなどのデメリットも存在します。一般的に、課税所得が一定額を超える場合(目安として900万円超)に、法人化による節税メリットが大きくなる可能性があるとされています。こうして条件を見ても結構大規模な大家であることが推察できるのではないかと思います。なお法人化する際には、不動産の所有方式(法人所有、管理委託、一括転貸など)によって税務上の効果が異なる点も考慮する必要があります。

 貸家建付地として活用することも、相続税評価額を下げる効果があります。賃貸している土地は「貸家建付地」として評価され、更地や駐車場に比べて評価額が2割程度下がる場合があります。さらに、小規模宅地等の特例を適用することで、相続税評価額を減額できる可能性もありますただし、この措置は相続税対策であり、固定資産税自体が下がるわけではない点に注意が必要です。

 遊休地となっている倉庫や店舗を、そのまま放置せずに賃貸物件として活用し、賃料収入を得ることで、固定資産税の支払いに充てることが可能になります。

 最終的には、税理士やなどの専門家に相談し、個々の状況に合わせた最適な節税対策を検討することが重要です。専門家は、税法や不動産に関する深い知識に基づき、具体的なアドバイスを提供してくれます。弊社でも税理士とタッグを組んで不動産の利活用を推進しています。

【重点】日野市・八王子市で使える補助金・奨励金

 日野市と八王子市では、事業者の事業活動を支援するための様々な補助金・奨励金制度が設けられており、これらの制度を活用することで固定資産税の負担を軽減できる可能性があります。以下に、貸倉庫・貸店舗のオーナーにとって特に注目すべき制度をご紹介します。

日野市の支援制度

日野市では、工業地域・準工業地域において、以下の奨励金制度が用意されています(2024年版日野市企業立地支援制度リーフレットより)。

  • 貸し施設設置奨励金:市内の工場・倉庫を新設・増築し、その施設を製造業等の事業者に賃貸した場合、賃貸期間に応じて固定資産税・都市計画税相当額が最長3年間交付されます。対象となるのは、評価額が1億円以上の施設です。空き倉庫などを活用して新たに賃貸事業を始めるオーナー様にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
  • 企業立地奨励金:自社で使用する目的で工場・倉庫・研究施設などを新設または増築した場合、操業開始後3年間(特定の分野に該当する場合は5年間)、固定資産税・都市計画税相当額が交付されます。
  • 生産設備設置奨励金:市内で製造業、情報通信業、卸売業を営む事業者が、1,500万円以上の償却資産を新たに設置した場合、最長5年間、設置した償却資産にかかる固定資産税相当額が交付されます。
  • 雇用促進奨励金:市内に居住する方を新たに雇用した場合、1人あたり年額10万円が交付されます。

これらの奨励金は、一定の要件を満たす必要がありますので、詳細は日野市の産業振興課にご確認ください。

八王子市の支援制度

八王子市では、企業立地促進地域内において、以下の奨励金制度が利用できます(八王子市企業立地支援制度ガイドより)。

  • 貸し施設設置奨励金:市内に工場または倉庫を新設し、それを賃貸事業用に活用した場合、最長3年間、固定資産税・都市計画税相当額が交付されます。日野市と同様に、空き倉庫などを活用した賃貸事業を始めるオーナー様にとって、税負担を軽減する大きなチャンスです。
  • 企業立地・雇用促進奨励金:自社で使用する目的で工場、倉庫、商業施設、事務所施設などを新設・増設した場合、または既存の施設を活用して事業を拡大した場合に、最長3年間、固定資産税・都市計画税相当額が補助されます。また、市民を雇用した場合に加算金が支給されます。
  • 開発・生産設備設置奨励金:製造業、物流業などを営む事業者が、3,000万円以上の償却資産を新たに取得した場合、最長3年間、取得した償却資産にかかる固定資産税相当額が補助されます。
  • 市内雇用促進加算金:八王子市民を新たに雇用した場合、1人あたり10万円が支給されます。

 これらの奨励金制度は、製造業だけでなく、物流業、商業、事務所施設も対象となる点が特徴です。企業立地促進地域の詳細や申請要件については、八王子市の産業振興部にご確認ください。

 これらの補助金・奨励金制度を積極的に活用することで、固定資産税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。ご自身の物件や事業計画が対象となるかどうか、各自治体の窓口に早めに相談してみることをお勧めします。また制度は刻々と変化していきますので、こういった情報に強い不動産事業者とタッグを組まれることをお勧めいたします。

キャッシュ改善の工夫

 固定資産税の負担を軽減するだけでなく、日々のキャッシュフローを改善することも重要です。以下の点を工夫することで、より安定した経営を目指せるでしょう。

  • 家賃の見直し:周辺の類似物件の賃料相場を定期的に調査し、適正な賃料設定になっているか見直しましょう。市場の変化に合わせて柔軟に賃料を調整することで、収益の最大化を図ることができます。ただし、大幅な値上げはテナントとのトラブルに繋がる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
  • 修繕コストの見直し:建物の維持には定期的な修繕が不可欠ですが、無駄なコストを削減することも可能です。複数の業者から見積もりを取り、費用対効果の高い修繕計画を立てましょう。長期的な視点で修繕計画を立てることで、突発的な高額出費を防ぐことができます。
  • 管理委託費の見直し:物件の管理を委託している場合、管理委託費が適正な価格設定になっているか定期的に見直しましょう。複数の管理会社を比較検討することで、より質の高いサービスをより安価に受けられる可能性があります。

これらの工夫を通じてキャッシュフローを改善することで、固定資産税の支払いに対する不安を軽減し、より安定した不動産経営を行うことができるでしょう。

専門家による無料相談のご案内

ここまで、貸倉庫・貸店舗の固定資産税に関する様々な情報と対策について解説してきました。しかし、「うちの場合はどうすればいいんだろう?」「もっと詳しく話を聞きたい」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そんな皆様のために、私たち楽府株式会社では、不動産や相続に関する専門家による無料相談窓口をご用意しております。また税に関しては提携の税理士とともにご相談に応じます。

  • 「固定資産税が高すぎる気がするけど、どうすればいい?」
  • 「日野市や八王子市の補助金制度について詳しく知りたい」
  • 「空き倉庫・空き店舗の最適な活用方法について相談したい」
  • 「法人化した方が得なのかどうか判断できない」

どんな些細な疑問や不安でも構いません。私たち専門家が、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案させていただきます。

「相談料がかかるのでは…?」と心配される方もご安心ください。初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にご連絡ください。

相談方法は簡単です。お電話、メール、または弊社のホームページからお申込みいただけます。無理な営業は一切いたしませんので、安心してご相談ください。

相続された大切な資産を、これからも有効活用していくために。まずは一歩、専門家にご相談いただくことから始めてみませんか?

まとめ:節税は「知らないと損」、早めの対策が重要

 今回は、貸倉庫・貸店舗を相続されたオーナー様に向けて、固定資産税が高くなる理由から、具体的な節税対策、そして日野市・八王子市で活用できる補助金・奨励金制度まで詳しく解説しました。

 固定資産税は、適切な対策を講じることで、その負担を大きく軽減できる可能性があります。「知らなかった」では済まされないことも多いのが税金の世界です。

 特に、日野市や八王子市には、事業用不動産のオーナーを支援するための手厚い補助金・奨励金制度があります。これらの制度を有効活用することで、固定資産税の負担を軽減し、より安定した不動産経営を実現することができるでしょう。

 もし、現在固定資産税の高さにお悩みでしたら、まずは専門家にご相談ください。私たち楽府株式会社は、あなたの疑問や不安に寄り添い、最適な解決策をご提案させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。

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【免責事項】

本記事は、2025年4月4日時点の情報に基づいて作成されています。税制や補助金制度は改正される可能性がありますので、最新の情報は関係省庁や自治体の窓口にご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談や法務相談に代わるものではありません。具体的な判断や行動については、必ず専門家にご相談ください。

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manabito

楽府株式会社 代表取締役/ 宅地建物取引士 / 不動産と文化の融合を目指す不動産会社「楽府株式会社」代表取締役。 宅建士。その他合格・取得資格は行政書士(未登録)/応用情報技術者/第二種電気工事士など。 不動産売却や相続不動産の相談を専門。特に、八王子市・日野市・府中市など多摩地域の不動産売却に精通し、売却成功事例や査定のポイントを分かりやすく解説することが得意。 相続セミナー講師(日野市後援、国分寺市後援、多摩市後援、厚木市後援の相続セミナー実績あり) ブログを通じて、不動産の悩みを抱える皆様に「賢い売却の選択肢」を提供できるよう努めています。

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