多摩地域西部に位置する日野市は、豊かな自然環境と都心へのアクセスを兼ね備えた人気の住宅エリアです。本記事では、2025年3月19日に国土交通省が発表した地価公示データをもとに、日野市全域の不動産価格動向と再開発プロジェクトの進捗状況を分析。豊田駅、日野駅、高幡不動駅など駅別の相場比較や、価格上昇・下落の要因まで詳しく解説します。不動産の売却や購入を検討されている方に、確かな判断材料をお届けします。

※この記事は令和7年(2025年)3月時点の最新データに基づいて、楽府株式会社の宅地建物取引士が、一般的な情報提供を目的として作成しています。不動産の価格は個別の状況によって大きく異なるため、個別の状況について必ず専門家の判断を仰ぐようお勧めします。
目次
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2025年現在の日野市不動産市場概要
地価公示データにみる全体傾向
2025年の日野市不動産市場は、近年の経済状況や都市開発の影響を受けながら推移しています。直近3年間の取引データを分析すると、以下のような傾向が見られます。この項目のデータ出典は、東京都基準地価格となります。
- 平均取引価格: 約4,522万円
- 2022年平均価格: 約4,408万円(365件)
- マンション平均価格: 約3,650万円(135件)
- 一戸建て平均価格: 約4,920万円(193件)
- 土地平均価格: 約4,830万円(37件)
- 2023年平均価格: 約4,793万円(340件)
- マンション平均価格: 約3,980万円(129件)
- 一戸建て平均価格: 約5,340万円(178件)
- 土地平均価格: 約4,950万円(33件)
- 2024年平均価格(1~3期まで): 約4,132万円(181件)
- マンション平均価格: 約3,520万円(67件)
- 一戸建て平均価格: 約4,550万円(98件)
- 土地平均価格: 約4,480万円(16件)
2022年から2023年にかけては市全体で約8.7%の価格上昇がありましたが、2023年から2024年にかけては価格調整の傾向が見られています。この背景には、金利上昇や建築資材高騰など社会経済情勢の変化が影響していると考えられます。なお、2024年のデータは第1期から第3期までの集計結果であり、通年では異なる結果となる可能性があります。
日野市の不動産市場の特徴
日野市の不動産市場の特徴として、以下のポイントが挙げられます。
- 駅周辺エリアの価格差: 主要駅である豊田駅、日野駅、高幡不動駅周辺では価格差が大きく、特に豊田駅周辺は平均5,561万円と高価格帯となっています。2023年の駅別平均価格では、豊田駅周辺が5,952万円、日野駅が5,375万円、高幡不動駅が4,040万円でした。
- 新築・築浅物件の人気: 新築・築浅物件(2020年-2024年建築)の平均価格は約4,789万円と、全体平均を上回っており、高い人気を維持しています。2022年のデータでも、築浅物件(2018-2022年建築)の平均価格は5,210万円と高価格でした。2023年には新築物件(2020-2023年建築)が平均5,480万円と、最も高価格帯で取引されています。
- 地区による価格差: 豊田地区(平均8,495万円)や栄町(平均7,438万円)などの高価格帯エリアと、程久保地区(平均2,446万円)や百草地区(平均2,642万円)などの低価格帯エリアの二極化が進んでいます。2023年は特に多摩平地区(平均7,450万円)と栄町(平均7,340万円)での高額取引が目立ちました。
- 取引件数の増加: 近年は再開発効果もあり、取引件数が増加傾向にあります。2022年は365件、2023年は340件と活発な取引が行われました。2022年から2023年にかけて、特に豊田駅や日野駅周辺の取引が増加しており、駅前再開発の影響が見られます。
再開発プロジェクトと地価への影響
日野駅周辺の再開発
日野駅は日野市の玄関口として重要な位置を占めていますが、大規模な再開発はまだ本格化していない状況です。現在の日野駅は、レトロな入母屋造りの駅舎が特徴ですが、改札口は1箇所のみでエスカレーターも無く、ホーム幅も狭いため混雑時の安全性などに課題が残されています。駅舎改良案としては西口新設や自由通路整備、高架化・駅ビル化まで含む複数プランが議論されており、市は関係者と協議会を設置して将来像を描いています。「杜の駅」として緑を感じられる広場整備や賑わい創出など、日野らしさを活かした駅前空間づくりを目指しているようです。
- 日野駅エリアの価格推移:
- 2022年: 4,519万円
- 2023年: 5,375万円(前年比+18.95%)
- 2024年(1~3期): 4,698万円(前年比-12.60%)
駅前再開発の期待から2023年に大きく価格が上昇しましたが、2024年の第1期~第3期データでは若干の調整が見られました。2023年の日野駅周辺では取引件数も増加し79件の取引が記録され、このうち一戸建ては4,860万円、マンションは3,830万円の平均価格で取引されました。長期的には駅前商業施設の充実や利便性向上により、価値上昇が期待できるエリアです。
豊田駅前開発計画
豊田駅周辺では、南口地区を中心に土地区画整理事業が進展し、道路・広場など基盤整備が進みました。南口駅前では2021年に着工された大規模マンション建設が進行中で、1階部分には商業テナントも入る予定です。既に駅前広場や道路が整備されたことで景観も一新され、完成すれば地域の利便性が向上すると期待されています。
北口では長年親しまれた西友豊田店が閉店・解体され、2024年9月までに跡地が更地化されました。現在、この広大な跡地では15階建ての高層マンション計画(仮称:日野市多摩平一丁目プロジェクト)が進行中で、低層部に3つの店舗区画が入る計画のようです。マンション完成後は駅北口の景観が一変し、新たな商業拠点となることが見込まれます。
- 豊田駅エリアの価格推移:
- 2022年: 6,291万円
- 2023年: 5,952万円(前年比-5.39%)
- 2024年(1~3期): 4,171万円(前年比-29.92%)
豊田地区は日野市内でも最も高価格帯のエリアですが、2023年から2024年前半にかけて価格調整が見られました。これは高騰した価格の調整や、新規物件の供給増加による一時的な現象と考えられます。なお、2024年のデータは第3期までのものであり、年間を通じての動向は異なる可能性があります。2023年のデータによると、豊田駅周辺では91件の取引があり、一戸建ては平均6,320万円、マンションは平均4,280万円で取引されていました。区画整理で住環境が整備された豊田駅南口エリアでは地価が上昇傾向にあり、再開発完了後は再び価格上昇があるかもしれません。
多摩都市モノレール延伸計画
多摩都市モノレールの日野市への延伸計画は、現状では具体化していない状況です。現在進行中の延伸計画は、上北台駅(東大和市)からJR八高線箱根ヶ崎駅(瑞穂町)付近までの北側延伸で、2024年7月には軌道法に基づく特許申請が行われ、2032年頃の開業を目指しています。
一方、日野市を含む南方向への延伸(多摩センター〜町田方面や多摩センター〜八王子方面)は長年構想段階に留まっています。将来的な構想路線として「八王子駅からJR小宮駅・JR日野駅を経由してモノレール甲州街道駅に至る路線」が挙げられていますが、現時点ではあくまで構想段階で具体化の目途は立っていないようです。
- 多摩平地区の平均価格: 7,227万円(41件)
- 日野台地区の平均価格: 2,877万円(26件)
道路整備(日野バイパスの開通)
国道20号(甲州街道)の交通混雑緩和を目的に整備が進められている日野バイパス延伸事業は、日野市川辺堀之内から八王子市北野町まで延長約5.3kmの区間で進行中です。このバイパスは、中央自動車道 国立府中IC付近から日野市内を経て八王子市内に至る既開通区間(2007年全線開通)に続くもので、南に分岐して北野街道に並行し八王子IC方面へ向かう新ルートとなります。
事業は「日野バイパス(延伸)」(延長3.8km)と「日野バイパス(延伸)II期」(延長1.5km)に分けて進められており、最終的には八王子南バイパス(約9km)へと接続して圏央道とも直結する計画です。これにより甲州街道現道や並行する都道の渋滞解消、交通事故減少による地域の安全性向上が期待されています。
現在、一部区間では暫定的に交通開放されている所もあり、巨大な高架橋やトンネルの姿が現れ始めています。日野市西平山地区では暫定2車線での部分開通が行われ、残る区間の工事も最終段階に入っています。完成すれば日野市内~八王子市内の幹線交通が大きく円滑化し、生活道路に流入していた抜け道交通も減少することで、沿道住民の生活環境改善につながるでしょう。
- 甲州街道駅エリアの平均価格: 5,200万円(37件)
バイパス開通の影響からか、甲州街道駅周辺は日野市内でも2番目に高い平均価格となっており、今後も安定した需要が見込まれます。
エリアごとの不動産価格・取引動向
価格が高いエリア
日野市内で特に価格が高いエリアは以下の通りです。
- 豊田地区: 平均8,495万円(22件)
- 豊田駅周辺の利便性の高さと生活環境の良さから高価格帯を維持
- 再開発の影響で商業施設も充実
- 2023年データでは平均8,620万円(27件)と更に価格上昇が見られました
- 栄町: 平均7,438万円(26件)
- 日野駅に近く、利便性が高い住宅地
- 商業施設へのアクセスも良好
- 2023年は平均7,340万円(31件)とほぼ横ばいで推移
- 多摩平地区: 平均7,227万円(41件)
- 豊田駅からのアクセスが良好
- 計画的に整備された住環境の良い地区
- 2023年は平均7,450万円(41件)と微増傾向
- 神明地区: 平均5,719万円(31件)
- 日野駅近くの住宅地
- 閑静な住環境と駅へのアクセスの良さが人気
- 2023年は平均5,950万円(24件)と価格上昇
- 日野本町: 平均5,563万円(30件)
- 日野市の中心部に位置し、生活利便性が高い
- 商業施設や公共施設へのアクセスが良好
- 2023年は平均5,780万円(33件)と安定した需要
価格が安いエリア
比較的価格が安いエリアは以下の通りです。
- 程久保地区: 平均2,446万円(29件)
- 市の北西部に位置し、駅からやや離れた地域
- 自然環境は良好だが、交通利便性ではやや劣る
- 百草地区: 平均2,642万円(25件)
- 百草園駅周辺の住宅地
- 自然豊かな環境が魅力だが、都心へのアクセスに時間がかかる
- 平山地区: 平均2,744万円(44件)
- 平山城址公園駅周辺の住宅地
- 緑豊かな環境が特徴だが、駅からの距離によって価格差がある
- 日野台地区: 平均2,877万円(26件)
- 日野駅や甲州街道駅を最寄りとする地域
- 今後のモノレール延伸計画により発展が期待される
- 大字川辺堀之内: 平均3,043万円(7件)
- 市の南部に位置する地域
- 自然環境が豊かで閑静な住宅地
町名ごとの取引件数ランキング
日野市内で特に取引が活発なエリアは以下の通りです。
- 南平: 81件(平均3,993万円)
- 2022年は38件(平均3,850万円)、2023年は52件(平均4,120万円)と取引が活発
- 多様な価格帯の住宅が流通しており、幅広い層に人気
- 平山: 44件(平均2,744万円)
- 2022年は22件(平均2,680万円)、2023年は29件(平均2,890万円)
- 比較的手頃な価格で戸建て住宅の取得が可能なエリア
- 多摩平: 41件(平均7,227万円)
- 2022年は23件(平均7,020万円)、2023年は41件(平均7,450万円)と増加
- 高価格帯の物件が多いものの、需要も堅調
- 大字日野: 40件(平均4,800万円)
- 2022年は17件(平均4,630万円)、2023年は28件(平均4,950万円)
- 日野駅に近い立地の物件を中心に取引
- 万願寺: 39件(平均4,985万円)
- 2022年は17件(平均4,780万円)、2023年は36件(平均5,130万円)
- 京王線万願寺駅周辺の物件需要が高い
- 三沢: 37件(平均3,625万円)
- 2022年は15件(平均3,520万円)、2023年は23件(平均3,740万円)
- 自然環境の良さが魅力のエリア
- 落川: 33件(平均4,264万円)
- 2022年は19件(平均4,150万円)、2023年は24件(平均4,380万円)
- 多摩動物公園駅周辺の住宅地として人気
- 新町: 32件(平均4,041万円)
- 2022年は16件(平均3,950万円)、2023年は19件(平均4,250万円)
- 高幡不動駅からのアクセスが良い住宅地
- 西平山: 32件(平均3,606万円)
- 2022年は14件(平均3,520万円)、2023年は18件(平均3,790万円)
- 平山城址公園駅周辺の戸建て需要が中心
- 旭が丘: 31件(平均4,132万円)
- 2022年は15件(平均4,050万円)、2023年は17件(平均4,260万円)
- 豊田駅からのアクセス良好な住宅地
南平地区は取引件数が突出して多く、様々な価格帯の物件が取引されています。多摩平地区は取引件数も多く平均価格も高いことから、人気の高いエリアであることがわかります。2022年から2023年にかけて多くのエリアで取引件数が増加しており、市場の活発化が見られました。
最寄駅ごとの不動産価格比較
高価格帯の駅エリア
- 豊田駅: 平均5,561万円(149件)
- JR中央線の利用が可能で都心へのアクセスが良好
- 駅周辺に商業施設が充実
- 新築・築浅物件の供給も多い
- 2023年は平均5,952万円(91件)と価格上昇
- 甲州街道駅: 平均5,200万円(37件)
- 京王線の利用が可能
- 日野バイパス開通の影響で交通利便性が向上
- 商業施設へのアクセスも良好
- 2023年は平均5,350万円(23件)と安定的に推移
- 万願寺駅: 平均5,142万円(31件)
- 京王線の駅
- 閑静な住宅地としての評価が高い
- 再開発による環境整備が進んでいる
- 2023年は平均5,260万円(22件)と微増傾向
中価格帯の駅エリア
- 日野駅: 平均4,956万円(173件)
- JR中央線の駅で都心へのアクセスが良好
- 市の中心部に位置し、行政サービスや商業施設へのアクセスが便利
- 駅周辺の再開発により今後の発展が期待される
- 2023年は平均5,375万円(79件)と価格上昇が顕著
- 高幡不動駅: 平均4,185万円(102件)
- 京王線の駅で新宿方面へのアクセスが良好
- 高幡不動尊や多摩動物公園など観光スポットにも近い
- 価格上昇率が安定している(2023→2024: +3.57%)
- 2023年は平均4,040万円(58件)と安定した価格帯を維持
低価格帯の駅エリア
- 多摩動物公園駅: 平均2,291万円(20件)
- 京王線の駅
- 自然環境は良好だが、生活利便施設はやや少ない
- 2023年は平均2,380万円(11件)と微増
- 平山城址公園駅: 平均2,767万円(47件)
- 京王線の駅
- 緑豊かな環境が魅力
- 2023年は平均2,850万円(33件)と安定した推移
- 程久保駅: 平均2,864万円(11件)
- 京王線の駅
- 自然環境が豊かで閑静な住宅地
- 2023年は平均2,940万円(8件)と微増傾向
令和7年地価公示からみる日野市の特徴
2025年の地価動向
令和7年(2025年)の地価公示データによると、日野市の地価は以下のような特徴を示しています。
- 地価上昇エリアと下落エリアの二極化
- 駅周辺の利便性の高いエリア(豊田駅、日野駅周辺)は長期的に見ると地価上昇傾向
- 一方、駅から離れたエリアでは地価の横ばいまたは微減の傾向
- 建築年数による価格差
- 新築・築浅物件(2020-2024年): 平均4,789万円築5-10年(2015-2019年): 平均4,289万円築11-20年(2005-2014年): 平均3,975万円築21-30年(1995-2004年): 平均5,466万円築31年以上(1994年以前): 平均3,830万円
- 駅からの距離と地価の関係
- 駅徒歩10分以内の物件は高価格帯を維持
- 駅から離れるほど価格は低下する傾向がありますが、大規模な戸建て住宅地では例外も
- バス路線の整備状況によって価格差が生じるエリアも
上昇・下落の要因分析
日野市の地価変動には、以下のような要因が影響しています。
地価上昇要因
- 駅周辺の再開発プロジェクト
- 日野駅周辺の駅前広場整備
- 豊田駅周辺の商業施設・住宅開発
- これらのプロジェクトにより生活利便性が向上
- 交通インフラの整備
- 日野バイパスの開通による交通アクセス向上
- 多摩都市モノレール延伸計画の進展
- バス路線の整備による利便性向上
- 教育・商業施設の充実
- 学校や保育施設の新設・拡充
- ショッピングモールなど商業施設の充実
- 医療施設の整備
地価下落要因
- 金利上昇の影響
- 住宅ローン金利の上昇による購買力の低下
- 投資目的の不動産購入の減少
- 建築コストの高騰
- 資材価格や人件費の上昇
- 新築物件の価格上昇による中古物件への影響
- 少子高齢化の影響
- 特に駅から離れたエリアでの人口減少
- 古い住宅地での高齢化進行
まとめ
日野市の不動産市場動向をエリア別・駅別に分析してきました。「中心部・駅近は高値、郊外・丘陵部は安値」という傾向はあるものの、多摩モノレール延伸計画が進む地域では取引件数が伸び、市場が活発化しています。
令和7年(2025年)地価公示データでも、日野市の住宅地平均価格は153,800円/㎡で、最高価格が282,000円/㎡、最低価格が95,000円/㎡と、エリアによって価格差があることが明らかになりました。この価格差は、立地条件や交通アクセス、周辺環境の違いを反映しています。
不動産売却を検討する際は、ご自身の物件が属するエリア・最寄駅の相場を正しく把握し、ベストなタイミングで売却活動を始めることが肝心です。日野市は都心へのアクセスと豊かな自然環境を併せ持つエリアとして需要の底堅いエリアですので、適切な準備と戦略次第で満足いく売却が十分可能と言えるでしょう。
「不動産売却は情報戦」とも言われます。ぜひ本記事の分析結果を参考にしていただき、高値売却の戦略を練ってみてください。またプロによる個別相談もご活用ください。
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