不動産

八王子市子安町・子安公園通り周辺エリアの不動産活用戦略

 八王子市子安町、特に子安公園通り×とちの木通り交差点を中心とした半径500m圏は、八王子駅南口から徒歩圏内という立地優位性を持つエリアです。本記事では、用途地域分析と公的な統計データを基に、この地域における最適な不動産活用策を専門的な視点から解説します。ご案内はここ子安町でも物件を管理している楽府株式会社の宅地建物取引士です。

八王子市子安町周辺の地域については、下記記事も参考になります。

用途地域と開発可能性

 毎度のことですが、不動産を考えるに当たっては、その不動産の立地環境を調べることが大切です。そこでまず、用途地域図から見てみましょう。中心点は子安公園通り×とちの木通りの交差点に置いています。

各用途地域の特徴と規制

 画像から分かるように、子安町周辺は、複数の用途地域が混在する多様性のあるエリアです。それぞれの特徴と規制内容を詳しく見ていきましょう。

近隣商業地域(建ぺい率80%・容積率300%) 画像上の薄いピンクのエリアが近隣商業地域です。主に主要幹線道路沿いがこの地域ですが、最も開発ポテンシャルが高いエリアです。生活利便型店舗や事務所と住宅の混在が可能で、容積率300%という高い数値は、立体的な土地利用による収益最大化を可能にします。地元の方ならご存じの通り、個人の営む小規模店舗が多く存在しています。そしてその顧客となっている層もまた、八王子駅以南の住居地域に在住の方がコアとなっています。

第一種住居地域(建ぺい率60%・容積率200%) 画像で黄色のエリアが第一種住居地域です。住宅地としての性格を保ちながら、3,000㎡以下の店舗や事務所の立地が可能です。住環境と利便性のバランスが取れた地域として、ファミリー層から単身者まで幅広い需要に対応できます。

第二種中高層住居専用地域(建ぺい率60%・容積率200%) 第一種住居地域(黄色)と緑色のエリアに挟まれた薄い黄色のエリアは第二種中高層住居専用地域です。中高層住宅と公益施設の立地が想定された地域で、静かな住環境が確保されています。高齢者向け住宅や質の高いファミリー向け住宅の適地といえます。

第二種住居地域(建ぺい率60%・容積率200%) そしてとちの木通りの西と、東の紫と緑に挟まれたエリアに見えるオレンジ色、ここは第二種住居地域です。住宅主体でありながら、商業性の高い業種の立地も可能な柔軟性のある地域です。小規模なオフィスや店舗との複合開発に適しています。

幹線沿いと住宅地の違い

 これで子安町の構成が大まかに理解できました。幹線道路沿いの近隣商業地域と内側の住宅系地域では、開発戦略を明確に区別する必要があります。

 幹線沿いは交通量が多く視認性が高い反面、騒音や排気ガスといった住環境上のデメリットもあります。このため、1階を商業・業務用途、上層階を住宅とする複合開発が最も合理的なアプローチとなります。一方、住宅地内は静謐性が保たれており、純粋な住宅用途での開発が適しています。ただし、角地や準角地では小規模な商業・業務用途との複合も検討価値があります。そしてテナントの入居できる物件を供給するのであれば、近隣の方をお客とするビジネス向けの物件が最も求められていることが分かります。また一方で居住用の物件として活用するのであれば、どのような層が居住したいかを分析して、ニーズに適した物件とすることが求められます。そうなると次に考えなければならないことは、この八王子市子安町のソフト面の特徴です。 

八王子市子安町・子安公園通り周辺の特徴

 それでは、公的なデータを元に八王子市子安町のソフト面の特徴を見ていきましょう。範囲は下記画像です。同じく子安公園通りととちの木通りの交差点に中心を置き、一次商圏で円を描いています。どのようなことが分かるでしょうか。

人口・世帯

  • 人口 9,746人(男 4,963/女 4,782)
  • 世帯 5,258、うち単身 2,876(54.7%)と単身比率が高い
  • 年少人口(0–14歳)10.2%/生産年齢(15–64歳)62.7%/高齢(65歳以上)21.1%
  • 「18歳未満のいる世帯」746、「65歳以上のいる世帯」1,440
    → 駅近らしく単身・少人数世帯中心、かつ高齢層も一定規模いる構成。

産業・就業(経済センサス)

  • 事業所 720(第3次産業 678が中心)
  • 従業者 9,237(第3次 8,640
  • 従業者が多い分野:卸売・小売 2,248/医療・福祉 1,283/宿泊・飲食 1,227/運輸・郵便 861/その他サービス 870
    小売・飲食・医療サービスが厚い駅周辺商業地の性格がはっきりしている。

人口・世帯構成の傾向

 子安町エリアは、八王子市全体と比較して特徴的な人口構成を示しています。人口密度は市平均を上回り、都市的な性格が強いエリアといえます。特筆すべきは75歳以上の高齢者の多さです。正直、私自身もこうしてデータにするまではハッキリと認識していませんでした。この層については特に、徒歩圏内での生活完結を重視する傾向が強く、これは後述する商業施設や医療・介護サービスの立地戦略において重要な考慮要素となります。

世帯構成では、単身世帯と2人世帯の比率が高く、特に20~40代の働き世代と65歳以上の高齢層が多く居住しています。この二極化した年齢構成は、不動産をどう使うべきか、所有者の考え方が明確に表れるポイントとなります。つまり、どこをターゲットにした不動産とするかということです。

 もう一つ注目すべきは、持ち家よりも賃貸住宅の比率が高いことです。これは流動人口が多く、継続的な賃貸需要が見込める市場環境を表しています。八王子駅からの徒歩アクセスの良さが武器となるエリアですので、これが賃貸住宅需要を下支えしている主要因といえるでしょう。

就業・産業構造

 地域の就業構造を見ると、サービス業、小売業、飲食業従事者の比率が高いことが特徴的です。これらの業種は地域密着型の性格が強く、昼間人口の維持・増加にも寄与しています。

 昼間人口が夜間人口を上回る傾向は、この地域がベッドタウンとしての機能だけでなく、一定の商業・業務機能を持つ複合的なエリアであることを示しています。これは不動産投資において、住宅系だけでなく事業系用途も視野に入れた戦略が有効であることを意味します。

最有効使用の提案

 ではこれらデータを踏まえて、どのように不動産を活用するのが最も効率の良い活用となるでしょうか。

商業+住宅複合モデル

 例えば幹線道路沿いの近隣商業地域においては、商業・住宅複合型開発が最も収益性が高いモデルとなります。

1階商業テナント想定業種

  • ドラッグストア:高齢者の多い地域特性にマッチし、安定収益が期待できる
  • クリニック(内科・整形外科等):徒歩圏生活を重視する高齢層のニーズに対応
  • カフェ・ベーカリー:働き世代と高齢層双方の日常利用が見込める
  • フィットネススタジオ:健康志向の高まりを背景とした成長業種
  • コインランドリー:単身世帯比率の高い地域特性に適合

上層階住宅プラン 単身者・DINKS世帯向けの1K~1LDKを中心とした間取り構成が適しています。八王子駅徒歩圏という立地を活かし、都心通勤者をターゲットとした質の高い賃貸住宅の提供が収益最大化のポイントです。

容積率300%を活用することで、4~5階建ての建物が建築可能となり、1階商業テナント収入と上層階賃貸収入のダブルインカムを実現できます。そして忘れられがち(?)ですが、実は、八王子駅南口側も、八王子市の「中心市街地」です。行政としても補助金を出して中心市街地のにぎわいを作りたいと思っているのですから、もし範囲に入っているのであれば、必ず、活用を検討すべきです。

住宅モデル

 利便性の高い地域特性を活かし、賃貸住宅の開発も有望です。

 徒歩圏内に商業施設や医療機関が揃っているという立地条件は、賃貸住宅の立地要件を満たしています。また、第二種中高層住居専用地域等の静かな環境は、居住環境として理想的です。特に、住宅確保要配慮者といわれる方々向けの物件に強いニーズがあり、また優位性があります。優位性とは一般賃貸住宅と比較して利回りが高く、かつ入居期間が長期にわたる傾向があるため、安定的な収益確保が可能であるという点です。

小規模複合オフィスモデル

 第一種住居地域や第二種住居地域では、1階に小規模オフィス・士業事務所を配し、上階を住宅とする複合型開発も効果的です。

 地域の人口構造と就業構造を考慮すると、税理士事務所、行政書士事務所、設計事務所、小規模IT企業等のニーズが見込まれることはすぐに理解できるはずです。これらの業種は騒音や来客数が少なく、住宅地内での営業に適しています。

オフィス部分は住宅部分より高い賃料設定が可能で、かつ事業者テナントは一般的に住宅テナントより安定性が高いという特徴があります。

まとめと投資戦略の方向性

 いかがだったでしょうか。八王子市子安町・子安公園通り周辺エリアは、以下の要素が組み合わさった魅力的なエリアといえます。特に不動産を空き家にしてしまうのは非常にもったいないエリアです。また、経験や勘で「自分の作りたい不動産」を作ってしまうと大変効率が悪くなります。このエリアにおける不動産の活用(このエリアへの投資も含む)では、まず第一に地域の特徴をデータとして正確に捉えること、次に自分の物件がどの層に役立つ不動産となり得るのかを分析することです。この地域では多くの場合、単一用途の開発よりも、地域の多様なニーズに対応できる複合型開発がより高い収益性を実現できます。市場環境の変化に対する対応力も高く、長期的な資産価値の維持・向上が期待できるエリアといえるでしょう。

 私どもでも八王子市子安町・子安公園通り周辺エリアの不動産の利活用のご相談は可能です。どうぞお気軽に楽府株式会社まで。

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楽府株式会社 代表取締役/ 宅地建物取引士 / 不動産と文化の融合を目指す不動産会社「楽府株式会社」代表取締役。 その他合格・取得資格は行政書士(未登録)/ITストラテジスト/応用情報技術者/第二種電気工事士/運行管理者(貨物)など。 不動産売却や相続不動産の相談を専門。特に、八王子市・日野市・府中市など多摩地域の不動産に精通。 相続セミナー講師(日野市後援、国分寺市後援、多摩市後援、厚木市後援の相続セミナー実績あり) ブログを通じて、不動産の悩みを抱える皆様に賢明な判断の根拠を提供できるよう努めています。

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