不動産

【仲介ストーリー】物流を支える縁の下の力持ち【川崎市貸地】

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クライアント

 クライアントはamazonや楽天などインターネットで購入された商品のお届けや、空港や市場から飲食店や小売店へ生鮮食品のお届け、企業の定期便等を行っている物流業者様でした。

 物流と聞いて比較的ピンとくるのは、やはり、私たちの大勢も利用させていただくことの多いamazonや楽天でのネットショッピングの商品のお届けでしょう。しかし最近では、街のスーパーマーケットでもネットを通して買い物をすることができます。街のスーパーマーケットで商品を購入した後、お届けだけをサービスカウンターでお願いしておくこともできます。スーパーマーケットは自社で配送するのではなく、今回のクライアントのような物流業者様に配送を依頼しています。

 また企業向けということでいうと、やはり「それってどうやって運ぶの?」というような荷物も多いもの。例えばペットや熱帯魚、精密機器や医療機器、血液や臓器、検体といったかなり特殊なものまで、単に「モノを移動させる」ということがどれほど必要で、どれほど難しいか、部外者である私たちには計り知れない部分もたくさんあります。

 今回のクライアントは、そういった世の中を支える「物流」の世界で関東を中心に、北海道から関西圏までを網羅しておられる企業様でした。

大きな壁

 クライアントがお探しの物件はもちろん、物流業務の中核を担う営業所とトラックの駐車場です。物流関係以外の仕事をする私たちには想像もできないのですが、実はトラックは駐車場を探すのがとても大変です。街の一般的な駐車場は、我が国で多く販売されている乗用車のサイズを目安に作られています。その車室のサイズはおよそ縦5.0メートル×横2.5メートルです。しかし、上述のように物流を担うトラックは、大きいものや高さのあるもの、特別な設備が必要なものなど、多種多様な荷物を運ぶ必要性から、車体のサイズも大きくなります。こうなると一般的な車室には収まらず一気に車を停める場所がなくなるのです。不動産オーナー目線でも、大きいサイズの数台の駐車場よりも、小さいサイズの数十台の駐車場の方が利回り良く、空室リスクも減少するため、なかなかトラックの停められる大きいサイズの駐車場は整備されません

 もう一つの壁は近隣環境です。こういった働き者のトラックのおかげで様々な恩恵を享受している私たちですが、やはり家の隣にトラックがたくさん停まっているのが嫌だという心理を拭い去ることができない方も多いのです。それは排気ガスのイメージだったり、まだ暗い早朝から稼働するイメージだったり、大きなエンジン音のイメージだったり、単に自分の体よりもかなり大きなトラックの与える威圧感のようなものだったりかもしれません。とにかく、トラックが停められるような広い場所であっても「近所の方から文句を言われるのが嫌だからトラックはNG」としている土地はごまんとあります。

 ということで、この①そもそもトラックを停められる場所の絶対数が極端に少ない、さらに②心理的障壁によりさらにその数が減る③となるとかなりの郊外まで行かなくてはいけないが、今度はただでさえ過酷な勤務のドライバーさんに通勤の負担が大きくなるので、離職につながりがち。という非常に苦しい状況の中での物件探しとなりました。

洗い出しから案件化まで

 このような物件は、そもそも数が少ない上に、ネットに出てくる情報だけでは足りません。探している地域の全ての不動産業者様に声掛けし、かつ自分でも現地を歩いて探す必要があります。めぼしい物件をみつけて何件も地主様のお宅へご相談に上がったりもしました。しかし地主様の健康的な理由でNGだったり、「トラックはちょっと…」と難色を示されたりというケースが続きました。また地域の不動産業者様の方も、そもそもトラックを停められるような場所を取り扱わない(困難なわりに儲からないから)、あるいは物流関係はネットショッピングの発達によって引く手数多で、(便利な場所には)不動産の空きがないという回答がほとんどでした。苦労してやっとみつけたと思った物件は「それが、ちょうど今朝、他の物流業者様から申込がありまして」とタッチの差で負けたりもしました。

 このような事情から、クライアントのご担当者様と私どもで、500~600件の不動産を検討しました。物件をああでもないこうでもないとやりとりしたメールは100通以上、電話も何件したか数えられません。

物件との出会い

 本来であれば、ドライバーさんの都合を考えて東京都内の物件が理想だったのですが、上記のような事情で困難を極めました。そこで神奈川県川崎市や横浜市港北区辺りまで範囲を広げて検討してみることにしました。やり方は同じです。地域の全ての不動産業者に問い合わせ、実際に自分の足でも歩いてみる。なかなか根気を求められます。そんなことをしている中で、川崎市の郊外にある土地と出会うことになります。

 本件土地は以前、建設業者様の資材置き場となっていた土地でした。普通に生活していたら絶対に通らない地域の、絶対に通らない道に面している隠れた土地です。地主様は工場等を賃貸しておられる業者様でトラック等の事情に対しても理解が深い方でした。サイズ的にも予算的にもしっくりくるものでした。ドライバーさんの理想の理想である職住近接という面では、やや難しい面もありましたが、それでも通勤時間を20分、往復で40分カットできるということで納得していただける環境でした。

 「ここで行く」と決まってからは、本当に早かったです。何か月もずっと苦労し続けて探し続けてきた分、申し込みから入居まで1週間以内というスピード契約。クライアントのご担当者様も、通常業務がある中、契約手続きに奔走してくださいました。本当によく頑張りました。

 スマホでポチっとするだけで、モノが自分のところに届く時代。実は、こういった縁の下の力持ちのヒトや不動産に支えられて成り立っているのです。改めて感謝しなければならないと思った案件でした。

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