不動産

【不動産コラム】不動産屋が教える!事故物件の調べ方と探し方

ハリー&ネリー

事故物件が安く借りられるって本当?

そうだね、わりと安く借りられることが多いよ

福来郎
ハリー&ネリー

でもやっぱりオバケとか出るのかな?

承認欲求を満たすためにオカルト的なことをいう人は出てくるけど、全く科学的な根拠はないよ。なんとなく嫌だなと思う人がいることは理解できるけどね。

福来郎
ハリー&ネリー

そうか。じゃあやっぱり安く借りられるのなら興味はあるなあ。どうやって探したら良いんだろう

それじゃ今日は事故物件について勉強してみよう

福来郎

Contents

事故物件とは?

事故物件とは、不動産で人の死が発生して「心理的瑕疵(かし)あり」と判断された不動産のことです。心理的瑕疵とは自殺や他殺があった家を借りたくない・買いたくないという気持ちをいいます。

自殺や他殺があった家だけでなく、その家の付近にお墓や暴力団事務所がある場合に、借りたくない・買いたくないという気持ちになる場合も心理的瑕疵に含むことはありますが、これらは事故物件とは異なるので今回は省きます。

免許を受けた宅建業者(不動産屋さん)は、事故物件を紹介する時には心理的瑕疵のある物件であることを借り手や買い手に教えなければなりません。それは法律で決められた義務でもあります。だから宅建業者は自分の取引する物件が事故物件かどうかを自分で調査しています。

それでは一体、宅建業者はどのように事故物件を調査しているのかをお教えしますね。

事故物件には何が含まれるかのガイドライン

まず、事故物件には何が含まれるのかをはっきり知っておくことが大切です。これまで事故物件とは何ぞやを明確に定めた基準がありませんでした。特に自然死の場合です。

例えば、

子供たちは独立し、伴侶を先に失った老人が、一人で暮らしていたところ、連絡が取れなくなった。心配になった子供たちが見に行ってみたら、老衰のためリビングのこたつで亡くなった後だった

というようなケースです。たしかに人の死がその家で発生してますが、果たしてこの物件は事故物件なのでしょうかということです。これまではこの辺りが曖昧だったわけです。

またこの例では老衰のためリビングで亡くなっていますが、ではこれが病気だったらどうでしょうか。あるいはお正月にお餅を食べていて喉に詰まらせてしまい、窒息してしまったのならどうでしょうか。さらには足腰が弱ってしまったせいで階段から落ちてしまったのならどうでしょうか。なかなか判断が難しいですよね。

この辺りが曖昧だったために、国土交通省の検討会の資料によると、約8割の賃貸住宅オーナーが、高齢者の入居に拒否感を示していました。

そこで国土交通省は、宅建業法上の「人の死に関する事案が、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない」のは大前提として、判断に迷う場合にはこれを参考にするようにということで人の死の告知に関するガイドライン」を整備しました。

ということで、基本的にはここで「告知しなければならない」となっているものについては事故物件、そうでないものについては事故物件ではないと現場では判断されることになりました。

例えば、他殺・自殺・事故死(火災等)は事故物件となります。しかし老衰や病気、転倒事故や誤嚥などの日常生活での不慮の死に関しては事故物件としては取り扱われません。しかし老衰や病気で亡くなった場合でも特殊清掃等が行われた場合はその旨が告知されます。これは例えば分譲マンションでバルコニーのような、共用部分での死についても同じです。

さらに賃貸借では事案発覚から概ね3年経過前は告知する必要がありますが、それ以降は事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い場合を除いて告知する必要はありません。

告知される内容

告知される内容ですが、事故の発生した時期、特殊清掃が行われた場合はその発覚時期、場所、死因、特殊清掃が行われた旨を告げることになっています。

ただ、死亡した方のお名前や年齢、住所や家族構成、どのような亡くなりかたをしたのか、どのように発見されたのか等は本人や遺族の名誉や生活の平穏に配慮して、告知することはありません。

したがって

「〇年〇月〇日に、以前の入居者が自殺により亡くなられ、特殊清掃が行われました」というような事実が淡々と告げられるだけです。

事故物件を調べる方法

では、私たち宅建業者はどのように事故物件を調べるか、その方法ですが非常にシンプルです。

物件をお預かりする時に、売主・貸主にお尋ねすることで調べます。実務では物件状況等確認書や告知書といった書面で告知していただいています。

「え?大島てるみたいなインターネットサイトを観たり、近隣への聞き込みをしたりしないの?」

と思われるかもしれません。皆無ではありませんが、ほとんど参考にしていません。

なぜなら、そのような形で出てくる情報の出どころが、情報の正確さについて何の責任も負わない立場の人だからです。

「あそこで〇〇があったらしいよ」

というような情報、好奇心をくすぐられることもあるでしょうし、それが事実のこともあるかもしれません。しかしその情報が不正確だった場合や、他人の名誉や生活の平穏を損なう内容だった場合に、その情報を発信した人が責任をとるわけではありません。あなたが、周りにいる「口だけ人間」を全く信用しないのと同じです。

もちろん、調査の過程で、然るべきルートから人の死に関する事案の存在を疑う事情が出てきた場合には、売主・貸主に確認していくことになります。

事故物件の探し方

さて、このページをご覧になっている方の中には、安い不動産を買うために、あるいは安く借りるために事故物件を探したい方もいらっしゃるかもしれません。その際には以下の方法が使えます。

事故物件を探すときはその情報元が情報に対して責任を負う立場かどうか、つまりソースが信頼できるものであるかどうかが最も大切です。事故物件サイトは全くあてになりませんので念のため。

免許を受けた宅建業者(不動産会社)に問い合わせる

上で書いたように、情報の出どころの信ぴょう性が最も大切です。その点、免許を受けた宅建業者に問い合わせるのが確実です。なぜなら宅建業者は自分が出す情報の正確性に対して責任を負う立場にあるからです。

問い合わせる際は「事故物件でも良いのでとにかく安い物件を紹介してほしい」と伝えると良いでしょう。注意点としては、自分では「俺って珍しい客だぜ」と思われるかもしれませんが、宅建業者各社にはそのような方は大勢来ているので、あなたが問い合わせをした段階では「その他大勢の一人」にしか過ぎません。業界の集まりで「おまえのところにも来た?俺のところにも来た」というような話を毎回毎回聞きます。

したがって、その他大勢を抜け出すためには、宅建業者と仲良くなっておく必要があります。ギブアンドテイクです。

「心理的瑕疵」「告知事項あり」で検索する

あなたが普段お使いになられている不動産ポータルサイトで「心理的瑕疵」「告知事項あり」等で検索してみるとよいでしょう。どのような瑕疵か、どのような告知事項かをその物件を広告している宅建業者に尋ねれば教えてもらえます。

事故物件専門不動産会社に依頼する

事故物件専門の不動産会社というものが存在します。私たち宅建業者には日々、各方面からの物件情報が寄せられ、その中には事故物件もあります。

基本的には自分たちで処理してしまうのですが、オーナーの事情等があって、とにかく素早く現金化したい時には事故物件専門不動産会社に流通させてしまうこともあります。また彼らも頻繁に「事故物件を仕入させてもらえませんか」と営業にやってきます。

ということで、事故物件専門不動産会社に網を張っておくのも有効です。

賃貸の場合はURの特別募集住宅をみてみる

あなたが安い賃貸住宅を探しているのであれば、URの特別募集住宅をみてみるとよいでしょう。

特別募集住宅は、お住まいの方が物件内などで亡くなられた住宅です。入居から1年間または2年間、家賃が半額に割り引かれることになっています。

まとめ

人の営みには、生もあれば死もあります。全ての人が病院のベッドの上で亡くなるわけではありません。しかし不動産はあくまでも人の営みの舞台に過ぎません。

亡くなった方やその遺族の尊厳や生活の平穏、そしてその不動産を利用している他の方の生活の平穏を損なう取扱いをされるべきではないと考えます。

オカルトや噂話ではなく、情報に責任を負う立場にある人からの正しい情報を基に、不動産を有効活用していただければと思います。

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